ものおき

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人間を辞める日

人間してるのって疲れませんか。

 

化粧するくらいの、特に美醜が人生の難易度にがっつり関わる歳になってからさらに疲れやすくなった気がする。人を保つのにエネルギーを使いすぎる。

そもそも引きこもりだし……引きこもりが洋服着て最低限の身だしなみで出歩いてるのって多分奇跡だし、そんな僕から見れば、日々ずっと可愛い女の子たちは凄いと思う。きっと気づかれないように沢山の努力をしている。出来ない僕は可愛くなれない。

 

で、ちりつもなんだとは思うけれど、特に大きな理由なく疲れちゃうだよな。人に会いたくないし化粧もしたくない。支度ってものをしたくない。

だから私は定期的に人間を辞める。

 

人間を辞めて、なにかの生物になる。

例えば猫。布団の中に丸まってスゥスゥ眠る。体が硬くなればぐーって伸びる。

例えば魚。湯が冷めるまで、ぼーっとしながら全身を水に浸す。

人間じゃないので料理もしない。昨日の人間だった自分が用意した作り置きを食べたり、もう何もかもめんどくさければご飯さえ食べない。飲みたいだけ水を飲んで、また眠る。人間辞めようと思えば、いくらでも眠れるので不思議だ。

 

 

そうやって1日をなにも生産しないで終える。人間じゃないから、1日なにもしなくていいのだ。そこに罪悪感を覚える必要もない。沢山沢山眠って、次の日は6時起き。少しだけ体が軽くなっている。

 

この人間を辞める日、なにかタスクを残して迎えると集中して人間を辞めることができないから、その日までにそれ以外のことは終わらせて、部屋も掃除しておく。明日なにもしなくていいように。

 

 

そうやって私は定期的に人間を辞める。本能の赴くまま、人からすれば無駄みたいな1日を過ごす。全部リセットして、人間に戻るための充電をする重要な日。

部屋には鍵をかけておくから、絶対に誰かに見られることもない。自分は今社会に存在しないんだって錯覚に、ひどく満足する。