大人になれない
大人って、映画とか本で泣くことはあっても、現実であったことには泣かないと思っていた。
私はもう、年齢的には大人の部類に入ってしまう。でも全然大人ではないよ。20歳を超えてから、時々足元が揺らぐような、不安な心地になることが多々あって。
それはきっと、自分が自分を大人だと認めていないからなんだろうとぼんやり思う。
一昨日と、昨日。
ヒロステの、31日以降の大阪公演全中止が決まって、それに伴いBlu-rayの発売も中止になった。
年明け前から楽しみにしてて、抽選申し込んでチケットを取って、ずっとずっと楽しみにしていた。去年の春わたしのなかに新しい概念を吹き込んでくれたヒロステに、もう一度会いたかった。ヒロステの原作追体験をもう一度、見たかった。
でも、それはもう、永遠に叶わない。この春幕を開けるはずだったものは、もう、私に届くことはない。
こんなに悲しんだことがあるだろうか、ってくらい泣いて、泣いて、泣いて。今も思い出すだけで涙が滲む。私の中でそれだけ大きなものになっていたことに驚いた。
間違っていることだとは分かっていても、私は幕を開けてほしかった。って、思う。今でも。こんなつらい気持ちになるくらいなら。
この微妙で効果のあるかわからない自粛の中、どうせみんな感染するなら、幕を開けてほしかった。
座長は「いつか必ず」と言ってくれたけれど、状況がいつ良くなるかもわからなくて、「いつか」はいつなのだろうと考えてしまう。
いつか必ずを信じて待つことしか私にはできないし、待って何もなくても、それでも待ち続けなきゃいけない。それはそれでつらいと思った。
ほらね、全然大人じゃないね。
私が理想としている大人は、「残念だけれど仕方がないね、一番つらいのは役者さんとスタッフだ」ってさらりと言えて、何事もなく生活に戻っていけるような大人だった。
私はそんな大人になれない。
とてもつらい。つらくて涙が出る。
なぜこんなめに合わなければならないのか、理解できなかった。
4月1日、本当だったら舞台観劇のため梅田にいるはずの私は、パジャマのまま布団の中で蹲っている。