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アナと雪の女王2感想【吹替】

※※物語の核心的な部分に触れている上、ポジティブな感想とネガティブな感想が共存しているので注意してください。※※

 

 

こんにちは。早速観てきました、アナと雪の女王2〜。アナ雪〜〜!!

大満足でしたが、不満もあって。

私個人の端的な感想としては、「映像美は最高峰だが、ストーリーが杜撰な上尺が足りない」です。まぁ最近のディズニーの傾向かなぁとは思いますが。

 

では掘り下げていきますね。

 

 

アニメーション

まつげの動き、頰の赤み、はらりと滑り落ちる髪。もう全てを挙げればキリがないほど、美しいアニメーションに鳥肌が立ちっぱなしでした。

特に気に入ったのは、冒頭の幼少アナエルサに物語をきかせ子守唄を歌うお父さんとお母さんのシーン。暗い部屋ではあるのですが、それでのなお輝く子供のまろいほほの動き、その血色、きらきら瞬く瞳が’’’’生'’’’って感じで、いやほんと、ディズニーは映画を公開するたびにアニメーションの最高峰を更新しますね。寝る前の子供のあの口とまぶたの動きとか生きてる人間よりも生きてましたよ(???)

イントゥジアンノウンのエルサもすごく良かった。とにかく美しい……。ラストのエルサの解放された表情の、血の通った肌の色、もうあれ生きてるよ、エルサは生きてました。

アニメーションだけでもう1500円(学生料金)元取れるなって思うようなクオリティ。みんな生きてる。映像美オタクは絶対劇場で観る方がいいです。

 

 

ストーリー

正直、めっちゃ微妙だったんですよ……。映像綺麗なのに勿体ないって、全然集中できなかった。「微妙だな……」って思うのは自分の感受性がずれてるからなのかなとか鑑賞中になんとなく不安になったし。

でも終わった後周りの人も微妙とか駆け足とかわからんかったって言ってたので元気出ました。うん、ストーリーは1のほうが断然良い。

 

【以下、盛大なネタバレを含みます】

まずラスト!!!!!!!あーーーーーやっぱりそれですか????また、それぞれの生きるところで生きるやつですか???????あーーーーーー!!!!!(あばれる)

アナが女王になってエルサは森を統治する。エルサがめちゃくちゃ生き生きしてたから(その生き生きな表情のカットで映画は終わったから)エルサには最善の選択なのだろうけど、それでもその結末は辛かったです。やっぱり人ならざるものは人とは共存は出来ても共に生活することはできないのだと落ち込みました。

というか、大事な人と手を取り合うのではなくそれぞれの場所で生きることにして、残される方は快く送り出すって形、シュガーラッシュとトイストーリーとこれと続いてもうウンザリなんですよ、もう少し違う結論はないんですか。ワンパターンすぎませんか。自立とかポリコレとか過去の価値観の粉砕とかまぁ理由はいろいろあるんだろうと察しますが、こういう結論しか出せないなら続編作らないで……ってディズニーには本気で思います。こんな感じならいつまでもそこに、変わらない絆がある2人のままとっといてほしかった。

 

ストーリーもあらすじはいいんだけど、尺が足りないからか全てがつめつめで、観ているほうがその感情に追いつく前に、次の展開に進んでしまうのがしんどかった。ギャグシーン取り除いてでも、重い展開の後に余韻を作るべきだと思いました。とくに父と母の死因を知ったところとか。すぐ喧嘩すな!!!ボートで流すな!!!!

重いシーンといえばオラフが消えるところですけど、1でもオラフは復活してたから「どうせ復活するやん」って予想が先に来てしまって、アナの悲しみに感情移入できなかったです、残念ポイント。オラフに「また会えるよ」って言わせて、アナもそれに「うん…っ!」くらいであんまりシリアスにしなくても良かったんじゃないでしょうか。悲しいシーンにしたいならそれ相応の説得力が必要だったと思います。

 

前回が「レット・イット・ゴー」で売れたからか、今回もミュージカルシーンが多かったですね。しかし、その場面での感情をキャラが歌にする理由が今作にあまり見当たらなくて、印象薄になってしまったのが残念です。ストーリーと歌が少し乖離していた。

とくにクリストフのあのMV。シリアスな展開とのテンションの差にいたたまれなくなってスクリーン観るのがしんどかったです。痛すぎる。共感性羞恥が働いて逃げたくなりました。アナ、ほんとにあの男でいいの?好きならいいんですかね…??愛があればいいんでしょうか。

→結論、あのシーン必要だったか?

 

あと、人と精霊の断絶の理由が「ダム」って設定、ダム関係の物語を嗜んだことのある人にはすぐ予想できるようなことだから安直すぎて先が読めてしまうので正直醒めました。ダムがあることで、ノーサンドラが水害から守られるとか、それらしい理由もなかったしね。これ最後ダム壊すやろ、って、冒頭数分で気付いた時の虚無はもう味わいたくないです。

ギャグも面白かったし、武内オラフが芸達者で笑えたし、1作目の内容を少し引っ張ってきてくれたのは嬉しかったけど、ギャグがやりたいのかシリアスに行きたいのか軸がぶれてるなって印象も受けてしまいました。

全体的に、アナ雪でやりたいことを全部詰め込んだ結果、とっちらかっちゃった脚本ってのが私の感想です。アニメーションが素晴らしかった分これは勿体ない。

ギャグやクリストフのあれこれを削ればもう少しエルサと母のシーンとか、精霊呼び出しちゃったあとの旅に出る前のシーンとか掘り下げられたんじゃないかなって、むしろそっちの方が観たかったよって思います。

 

で、一番引っかかったところ。

今作、エルサの母が精霊の住む森出身であり、氷の魔法は実は精霊としてのもので(火の精霊がトカゲだったことから精霊は生き物でもなることはできると示唆されている)、だから森に呼ばれ国の治世からは離れることになったって話なんですけど。

これ、「どう生まれたか」が人生の選択を左右するって取られかねないんじゃないかなって、それがすごくしこりとして残りました。

つまり、エルサが王の座をアナに譲り、森に残ることにしたのは、自分がそういう風に生まれたからっていう、外的要因によるものであるということ。1作目の、人と違う風に生まれ迷い、一度は解き放たれたけどやっぱり愛する人のために戻ってきたエルサの葛藤が、「生まれ」に全て上書きされてるみたいで、しかもそれが彼女自身の選択ではないみたいで、納得がいかなかったです。ごめん。

兵士を説得して先導してダムを壊した、アナの王としての素質を認め、エルサ自身は自分に合った生き方を選ぶって展開の方がまだシナリオとしては丁寧だったんじゃないかなって思います。

いやね、エルサは森にいるほうが幸せだと思うんです。魔法を引け目に感じる必要がないし、自己肯定感が低い中で人の上に立つってしんどいし。その自己肯定感が低かったのも、魔法が普通の人としての生活を脅かしていたからだし。彼女は森にいるのが正解なのは分かります。

というよりは、物語の構造上、エルサは森に「帰らなければならなかった」って言う方が正しいのかなとも思います。これは仮定の話ですが、エルサとアナの母イデュナが精霊と会話できる「巫女」であったとして、その巫女が森を出た(アグナルを助けて結婚し、アレンデールの王妃になった)ことで精霊と断絶し森が閉ざされたとするならば、森に精霊が戻り彼らと会話するにはやっぱり「巫女」がいなければならないんですよね。

この「巫女」であることは、風の精に名をつけ、火の精と心を通わせ、水の精の手綱を握ったことから示唆できます(ただし、土に関してはエルサノータッチなので足りなくね?と思わなくもない)。つまり、エルサは「巫女」として森に帰ることを決意したと。

しかしこれも、「生まれ」が人生を左右するって言ってるみたいで納得いかないです。そう生まれたからにはそうならなければならないのか? 人とともに生きようとしていたエルサがなんだか遠くに行ってしまったみたいですごく寂しいです。

 

全体的にもう少し丁寧な描写ができなかったのかなぁ〜〜!!!!あーーー!!!!

尺がたりてない!!!3時間でもいいからちゃんと語って!!!!!というかこの内容なんで2時間に詰められると思ったんだ!!!!!?!?

ストーリーについては以上です。

 

 

個人的ここが好きだった

冒頭に大満足って言った通り、ストーリーを除けば、好きなところはほんといっぱいあったんです。以下箇条書きでうるさくします。

 

・武内オラフのクリストフの声真似上手すぎます。めちゃくちゃ素直に笑った。声の幅が広い。オラフが何かするたび劇場が笑い声で震えた。音響監督さん楽しかっただろうなぁ。

・声かけられてビックリして手すり凍らせるビビリエルサ可愛い。

ジェスチャーゲームかわいいしかなかった。二次創作かと思った。

・ダイジェストアナ雪1、オラフの動きがめちゃくちゃ面白いのにちゃんと内容伝わるからすごい。

・アーッハーッエンヤーのところフィヨルドがある北欧民族って感じで1000000点。どんどん。

・年下の王族に敬語を使う兵士が大好きなのでありがとうございました。ダムの上での盾カンカンもカッコよかった。

・ハンス出してくれてありがとう(一瞬で粉砕されていたけど)。

・エルサの終盤の衣装あまりに女神で泣いた。

・幼少のお父さん美少年すぎませんか????そりゃあんな可愛いお姫様2人生まれるわ……お母さんも綺麗だしね。

・子守唄私にも歌ってほしい。

・ラストの馬に乗って駆けるエルサが1、2含めて今までで一番解放された表情だったので、ああエルサは自分を認めることができたんだなって、少し泣きました。終わり方好きです。映画として美しい。結論には納得してませんが。

 

 

おわりに

ストーリーボロクソに言った手前ですが、やっぱり名作ではあると思うので、とくに映像面で名作ですので、スクリーンで観ることをお勧めします。小説とかは買わなくていいと思う。

1作目みなおそう〜。